タイトルタイトル
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科目名
社会の認識  
講義題目
文化越境の東アジア学  
責任教員(所属)
玄 武岩 ( 大学院メディア・コミュニケーション研究院 )  
担当教員(所属)
玄 武岩 ( 大学院メディア・コミュニケーション研究院 )  
科目種別 全学教育科目(主題別科目) 他学部履修等の可否
開講年度 2024  期間 1学期 時間割番号 000628 
授業形態 講義 単位数 2  対象年次 1  
対象学科・クラス 基礎1-53組 補足事項   
ナンバリングコード GEN_LIB 1230 
大分類コード 大分類名称
GEN_LIB  全学教育(教養科目)
レベルコード レベル
1  全学教育科目(語学上級科目、高年次対象科目を除く)
中分類コード 中分類名称
2  主題別科目
小分類コード 小分類名称
3  社会の認識
言語
日本語で行う授業
実務経験のある教員等による授業科目
該当しない

キーワード         
東アジア 文化越境 〈ポスト帝国〉 国家暴力 過去の克服

授業の目標         
東アジアで歴史の和解はどのようには実現しうるのでしょうか。
帝国主義と植民地、戦争と内戦、独裁と抗争という屈折した近現代をくぐり抜けてきた東アジアは、冷戦によるイデオロギー対立と絡まり合う暴力の連鎖に巻き込まれていくことで、いかに国家暴力による被害を克服して和解を成し遂げるかという課題に向き合ってきました。本授業は、「過去の克服」に向けて連帯する下からの市民的公共性をもって、東アジアにおける地域主義の価値が公共的視点からどのようにオーガナイズされてゆくべきかを模索します。
自国に閉ざされたナショナル・ヒストリーに対抗して、東アジアのトランスナショナルな公共圏を構築するのであれば、大衆文化の共有を通して対話を促し、各国で共感できる歴史的事実にもとづいた物語に意味を付与するメディア学のさまざまな実践もきわめて重要です。国家暴力による被害の克服を軸に、文化的境界の構築と解体のプロセスに目を向ける東アジア学を探求することで、日本がかつて植民地支配したアジアの国々との関係を再構築するための展望を見出します。

到達目標         
東アジアには、文学や音楽、映画・ドラマ・アニメなど映像コンテンツを共有する大衆文化圏が形成されています。しかしその実態は、伝統と近代、グローバリゼーションとローカルアイデンティティ、統合と分離がせめぎ合う文化的ダイナミズムに富む空間でもあります。文化越境というアプローチをとおして、これまで自明とされてきた集団や属性の全体性・同質性を批判的にとらえ、内部と外部、集団と個人、中心と周辺をめぐる文化的ヘゲモニーの政治的意味を多面的に分析できる視座を身につけることを目指します。

授業計画         
毎回、各テーマについて講義形式で取り上げます。

1. 〈ポスト帝国〉の東アジア-下からの地域形成
帝国主義や冷戦体制を通して国家暴力を被った東アジアが、市民社会の連帯により地域共同体を構築する下からのリージョナリズムの可能性を探ります。

2. 森崎和江の〈原罪を葬る旅〉-植民者二世がたどるアジア・女性・交流の歴史
植民者二世として朝鮮半島に生まれ、その「原罪意識」と向き合ってきた詩人・作家である森崎和江の生涯から「越境する連帯の思想」を読み取ります。

3. 水俣・韓国・ベトナム-桑原史成の作品世界
水俣病の先駆的な写真家として知られ、韓国ともゆかりの深い報道写真家の桑原史成の作品世界を通して、連動する東アジアの負の歴史を見つめます。

4. 国境を越えてゆく戦後補償の運動と言説-「戦争被害受忍論」を超えて
韓国の戦時動員被害者が起こした戦後補償裁判を日本の市民社会が支援する「日韓連帯」という歴史文化的なコンタクト・ゾーンの系譜をたどります。

5. 想起と忘却のかたち-「想起の空間」としての「平和の少女像」
「慰安婦」を表象する少女像が日韓の対立する歴史認識の象徴となった経緯から、「記憶の場」をめぐる文化政治的意味について考察します。

6. ナショナル・ヒストリーから東アジアのトランスナショナルな公共圏へ
日韓の原爆被害者がそれぞれの苦痛に共感することで見えてくる東アジアのトランスナショナルな公共圏について議論します。

7. テレビドラマの越境と現地化-文化はいかに「翻訳」されるか
ドラマの「リメイク」という文化現象を通して、社会意識や家族関係などイデオロギーが変容する文化翻訳のプロセスについて考察します。

8. 韓国映画の「植民地もの」における脱ナショナリズムの隘路
韓国映画において植民地時代の記憶を再現する表象のポリティクスとして、「反日」の構図に代わる視覚的表現のスタイルと戦略について考えます。

9. 近代化遺産と帝国の暴力-「戦艦大和」の歴史/物語とメディア表象
近代化をめぐる肯定的な物語がいかにして形成されるのか、大和ミュージアムを通して戦争の負の側面が不可視化されるメカニズムをあぶり出します。

10. メディアとしての戦争/平和博物館-東アジアのダークツーリズム
東アジアの戦争/平和博物館を中心に、観光産業の眩しさに埋もれてきた「影」の側面から、旅による体験の共有と歴史の共感の可能性を探ります。

11. 韓国軍ベトナム戦時民間人虐殺を裁く市民平和法廷の挑戦-淳子たちの連帯
反共独裁体制下の韓国軍がベトナム民衆に向けて放った自らの「加害」の歴史に、韓国社会がどのように向きあってきたのかについて振り返ります。

12. 「日韓連帯」としての四・三運動−ジャーナリストが掘り起こした国家暴力
済州四・三事件の真相究明と被害者の名誉回復に重要な役割を果たした在日コリアンによる四・三運動が提示した連帯のビジョンについて考察します。

13. 台湾の白色テロと移行期正義-「日本語世代」が記録した緑島新生訓導処
「日本語世代」の回想録から、白色テロ時期に政治犯を収容した施設が国家人権博物館へと生まれ変わる台湾の「移行期正義」について検討します。

14. 北朝鮮を行く-「いいところを撮る」ジャーナリストの美学
北朝鮮の人びとの素顔に社会のダイナミズムを読み取ろうとするフォトジャーナリストの仕事から、北朝鮮情報の流通の仕組みについて考えます。

15. 期末試験

準備学習(予習・復習)等の内容と分量         
各回の授業で求められる指定した課題をこなしてください。授業の参考資料となる映像には事前に目を通しておきましょう。

成績評価の基準と方法         
課題・レポート(30%)および期末試験(70%)によって総合的に評価します。

有する実務経験と授業への活用         

他学部履修の条件         

テキスト・教科書         


講義指定図書         


参照ホームページ         




研究室のホームページ         

備考         

更新日時         
2024/02/16 14:34:26

授業実施方式         
対面授業科目《一部遠隔》

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